整備士が本音で言う「もう直さない方がいい車」の見極め方|修理を諦める目安

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見積書を渡された瞬間、手が止まる。

「……この車に、そこまでかけるのか」

車検の追加整備で15万。あるいは、急に調子が悪くなって修理に10万。数字を見て、頭の中で天秤が揺れます。直したい。まだ乗れるはずだ。でも、この金額は正直きつい——かといって、買い替えるとなればもっとかかる。どっちに転んでも損しそうで、決められない。

その気持ち、よく分かります。僕は整備士として、その天秤の前で固まってしまうお客さんを、これまで何人も見てきました。

どうも、整備士のMatです。今日は「直すか、手放すか」で迷っている人に向けて、僕が現場でどこに線を引いているかを、本音で話します。売りたいわけでも、諦めさせたいわけでもありません。ただ、”損する直し方”だけは避けてほしいんです。

修理見積もりを見ながら直すか手放すかを相談する整備士と車の所有者
目次

一番お金を失うのは、「もったいないから」で直し続ける人

先に、いちばん大事なことを言います。

修理の判断で人が損をするのは、「直せない車を無理に直すとき」より、「もったいなくて手放せず、ずるずる直し続けるとき」です。

こういうパターン、本当に多い。

一度、10万円以上かけて大きな修理をする。しばらくして、今度は別のところに5〜6万の修理が必要になる。このとき、多くの人がこう考えます。

「こないだ10万もかけたばっかりだしな……ここで手放したら、あの10万が無駄になる。もう5万くらいなら、直しちゃおう」

これが「抜けられない沼」の入口

一度大きなお金をかけると、「せっかく直したのに」という気持ちが働いて、次の修理も、その次の修理も断りにくくなる。気づけば、車の価値をとっくに超えるお金を注ぎ込んでいる——整備士として、この”後に引けなくなる流れ”を何度も見てきました。

厳しいことを言いますが、過去に払った10万円は、もう戻ってきません。今日の5万円を出すかどうかは、「これまでいくらかけたか」ではなく、「この先いくらかかるか」で決めるべきなんです。

「もったいない」の正体は、たいていこの錯覚です。ここを断ち切れるかどうかが、損する人と損しない人の分かれ道になります。

「もったいないから」で判断すると、たいてい沼にハマります。見るべきは過去にかけた金額じゃなくて、これから先にかかる金額です。

整備士が「もう直すな」と言う、3つの重整備

とはいえ、誤解しないでください。車の故障の大半は、費用はかかっても、直せばちゃんと乗れます。

バッテリー、オルタネーター、ブレーキまわり、足回りのブッシュ類——このあたりは、たとえ数万円かかっても直す価値があります。まだ十分に走る車を「古いから」というだけで手放すのは、それこそもったいない。

僕が「もう金をかけないほうがいい」とハッキリ言うのは、修理代が一気に30万円以上に跳ね上がる、特定の重整備が来たときだけです。具体的には、次の3つ。

① エンジン本体(前兆は「オイルが減ること」)

いちばん大きいのがこれです。エンジン本体がダメになると、修理ではなく本体まるごと交換になり、30万円以上——車種によってはもっとかかります。

見逃してほしくない前兆があります。エンジンオイルが、いつの間にか減っていることです。

オイル交換のたびに量が足りない、走行距離のわりにオイルの減りが早い——これは、エンジンの内部が摩耗してきているサインのことが多いんです。素人目には気づきにくいけど、整備士がいちばん警戒するポイントのひとつです。

オイルが減り始めた古いエンジンは、この先も出費がかさむ可能性が高い。ここに大きなお金をかけるくらいなら、手放しを考えるタイミングです。

② ハイブリッドのバッテリー

ハイブリッド車は燃費が良い一方で、駆動用バッテリー(ハイブリッドバッテリー)の交換が高額です。距離を走った車でこれが寿命を迎えると、修理費が一気に膨らみます。

「エコだと思って乗っていたのに、最後に大きな出費が来た」——これもよくある話です。

③ ミッション(トランスミッション)

変速機、いわゆるミッションのトラブルも、載せ替えとなれば高額修理の代表格です。走行に直結する重要部品なので、だましだまし乗るのも危険。ここが逝ったら、修理費と車の価値をよく見比べてください。

逆に言えば

この3つ(エンジン本体・ハイブリッドバッテリー・ミッション)以外なら、費用はかかっても直して乗り続ける価値は十分あります。「古い=もう寿命」ではありません。線を引くべきは”年式”ではなく、”この先かかる修理の中身”です。

見極めの結論:「修理代が、その車の価値を超えたら」

車を直すか手放すかの判断基準を示す図解

3つの重整備に共通するのは、修理代が、いまその車を売ったときの値段(査定額)を超えてしまうということです。

これが、いちばんシンプルな見極めラインです。

比較 判断
修理代 < 車の価値 直して乗る
修理代 > 車の価値 手放しを検討する

ここで多くの人がつまずくのが、「じゃあ、うちの車って今いくらなの?」が分からないこと。愛着があると価値を高く見積もりがちだし、逆に「もう古いからゼロだろう」と安く思い込んでいる人もいます。この”今の価値”を知らないまま修理を決めるから、判断を間違えるんです。

「手放す」と決めても、その車はまだ値段がつきます

ここで、多くの人が誤解していることがあります。

「エンジンがダメ」「もう動かない」「ディーラーで下取り0円と言われた」——そういう車は、”お金を払って処分するもの”だと思っていませんか?

実は逆のことがよくあります。動かない不動車でも、事故車でも、10年落ちの過走行車でも、廃車買取なら値段がつくんです。

理由は、車は部品や鉄資源としての価値があるから。ディーラーの下取りや一般的な中古買取で0円になる車でも、廃車買取の専門業者なら、そこを評価してくれます。しかも多くの場合、引き取りは無料、面倒な手続きも代行してくれます。

「処分にお金がかかる」と思っていた車に、逆に値段がついた——そういうお客さんを何人も見てきました。手放すと決めたなら、まずは”いくらになるか”を確認しないと損です。

廃車買取のおすすめ

廃車専門の買取業者では「ハイシャル」あたりが、動かない車・事故車・過走行車でも査定してくれることで知られています。査定は無料で、しつこい営業電話がないのも安心材料です。まずは一度、無料査定だけでも受けてみることをおすすめします。

ただし、すべての車が「手放すべき」ではありません

念のため、はっきりさせておきます。

この記事は、「修理代が車の価値を超えていて、しかも重整備が続いている車」の話です。

  • まだ十分に走って、修理も数万円で収まる車
  • 思い入れが強くて、多少お金がかかっても乗り続けたい車

こういう車まで、無理に手放す必要はまったくありません。「まだ直して乗る」という判断も、立派に正解です。大事なのは、”なんとなくもったいないから”ではなく、数字と車の状態を見て、自分で納得して決めること。それだけです。

まずは「今いくらか」を知ってから、決めよう

修理か、手放すか。この判断は、「今この車がいくらで売れるか」という数字が分からないと、そもそも正しく比べられません。

見積書の金額だけを見て「高いなあ」と悩むのをやめて、もう片方の数字——査定額——を先に手に入れてください。両方の数字が揃って初めて、天秤は正しく傾きます。

査定は無料で、数字を見てから「やっぱり直す」でも全く問題ありません。まずは今の価値を知るところから始めましょう。ハイシャルのような廃車買取専門店なら、今の車がいくらになるか無料で確認できます。

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この記事を書いた人

Mat(マット)|千葉県柏市の整備工場で20年以上働く現役整備士。
クルマにまつわるお金の話、買い方、使い方を本音で発信しています。
お世辞もリップサービスもなし。現場で見てきた話だけ書きます。

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